私立中学受験には大手塾?関東大手4校の合格実績や特徴を徹底比較しました
中学受験を考え始めたとき、大手の進学塾に通わせれば我が子も学力の高い中学校に入れるのではないかと、考えることがあると思います。
ですが大手塾はそれぞれの方針に基づいて効果的な勉強のやり方を教える場なので、その環境とお子さんが合わなければ本領発揮とはならない可能性もあります。
そうならないよう、子供の性格に合わせた塾選びをする必要があります。
今回は私立中学受験を目指すときの、大手塾の合格実績や特徴などについてお話します。
目次
私立中学受験には大手塾がいい?
中学受験のシーズンが終了する頃になると、大手進学塾の新年度塾生募集で「難関中学〇〇名合格!」というCMや広告をよく目にするようになりますね
推算すると昨年(2019年)に行われた中学入試では、首都圏にある国立・公立・私立の中高一貫校の総合格者数のうちの約9割が
- サピックス
- 早稲田アカデミー
- 日能研
- 四谷大塚
- 栄光ゼミナール
- 市進学院
上記の大手6塾からの合格だといわれています。
こういう話を聞くと「大手塾に通って頑張ったら、我が子も難関中学に入学するのも夢じゃないかも」と期待したくなるのが親ではないでしょうか。
そうなるとどうしても多くの合格者を出している大手塾に子供を通わせたくなる親御さんは多くなり大手塾に生徒が集まることになります
ですが当然ながら大手塾に通わせれば絶対合格できる、というものではありません。
お子さんと塾の方針が合えば相乗効果も期待できますが、そうでない場合にはテンションが下がってくじける恐れもあるのです
大手進学塾に通うメリット
私立中学受験のために大手塾に通うメリットはいくつかありますが、1番のメリットはその考え抜かれたカリキュラムではないでしょうか。
大手塾では中学受験のために専門の教師が常に入試傾向や対策を調べ尽くし最新の入試動向を探っています
そしてそれに合わせて独自のテキストやテストの作成をして、受験に必要となる学習内容をカリキュラムとして組んでいます。
また長年中学受験に携わり実績を出していることで、そういった膨大なデータを持っていることも大きな強みです。
大手進学塾に通うデメリット
大手塾といっても方針は様々なので、塾ごとの特色には違いがあります
デメリットとしては、その塾の方針や勉強の進め方自体が、その子に合っていない場合があるということです。
常に競争をさせるような塾に、競争することが苦手な子供が入ればとても苦痛なことでしょう。
テストの点数を出すことが意欲アップにつながる子もいれば、そうでない子もいるのです。
また大手塾のカリキュラムは優れている分進度も速く学習量も多いことが特徴です。
子供の体力や、性格的に対応できないという場合もあるので注意が必要になります
関東の大手塾4校の特徴を比較します
中学受験するための進学塾を検討する時には、通わせようと考えている塾の特徴を知ることが大切です
関東の大手塾4校の合格実績や特徴などを比較してみました。
中学受験でのSAPIX(サピックス)の合格実績
昨年2019年入試でのサピックスからの合格者数の占有率(塾の合格者数÷各校の合格者数)を男女御三家で見ていくと
【男子御三家】
- 開成 約7割
- 麻布 4割以上
- 武蔵 約3割
【女子御三家】
- 桜蔭 6割以上
- 女子学院 4割以上
- 雙葉 3割以上
となっています。
占有率は男子御三家が53.3%、女子御三家が50.4%と男女御三家合格者の過半数をサピックスが占め、圧倒的な強さとなっています
サピックスの特徴
中学受験を扱っている中でも有名な大手塾の1つで、首都圏と関西で運営しており難関校に圧倒的に高い合格実績があります。
優れた講師がそろっていることでも評判が高く、組まれる授業はハイレベル、カリキュラムの進度は速い、と無駄が一切ありません。
授業は成績上位層に合わせた指導が進むため、自分で進んで勉強をしようとする学習意欲があり、学習内容を理解する能力がある子はどんどん伸びていく傾向にあります。
しかし精神面で弱さが出る子や、学習する力が弱い子は伸び悩むこともあり、家庭でしっかりとしたサポートをする必要が出てきます。
テキストも上位向けのため解説が少なく、授業が理解できていないとついていくのが難しい面もあります。
「デイリーサピックス」と呼ばれる、通常授業のテキスト・授業・繰り返し学習のシステム・テストなどといった仕組みがあり、月に一度行われるマンスリーテストと、クラス編成のために行われる組み分けテストが実施されます。
授業をその都度しっかり理解して、自分でその日に学習した内容を復習をする習慣をつけておかなければ伸びるのは難しいです。
サピックスの年間にかかる費用
4年生 | 約54万円 |
5年生 | 約68万円 |
6年生 | 約124万円 |
サピックスのクラス分け・通塾の頻度
1コース(=クラス)15~20人程度で、学力別のコース編成です。
コース分け等に関係のあるテストは、4~6年生では約1か月に1回実施されます。
通塾の頻度は
- 4年生 週2回
- 5年生 週3回
- 6年生前期 週3回
- 6年生後期 週4回
が基本になっていますが、一部異なる場合があります。
中学受験での日能研の合格実績
中堅校受験に強い傾向にあるのが日能研ですが、昨年2019年に行われた入試では関東の大手塾の中で、日能研からの合格者数がもっとも多かったのは
- 逗子開成
- フェリス
- 横浜雙葉
- 横浜共立
- 市立横浜サイエンスフロンティア
で神奈川の学校に強いことも明らかになりました
日能研の特徴
日能研は首都圏はもちろん、全国規模でも運営している学習塾です。
成績が高い子供だけが通える塾ではなく、どんな学力の子供も通うことができるという受け入れの広さが特徴の塾です。
入塾した後は中学受験で必要となる知識を養うための授業を一定のスピードで進めていきます。
宿題は他と比較すると少ない方で、塾で習ったことを宿題で復習して定着させ、同じ問題を何度も解かせていくので理解できずについていけなくなるといった子供は少ないようです。
4・5年生は隔週、6年生は毎週行われるカリキュラムテストや月ごとの公開模試で学力を測り、その結果で席順やクラスが決まります。
受験までの内容がすべて終了するのが6年生の7月と、他塾よりもペースがやや遅めのため、過去問に取り組みだす時期が遅れがちにはなりますが、少しゆったりした学習スピードで受験に臨みたいという子には向いています。
日能研の年間にかかる費用
4科(Wコース)の場合
4年生 | 約45万円 |
5年生 | 約65万円 |
6年生 | 約108万円 |
日能研のクラス分け・通塾の頻度
1クラスあたりの人数は25名程度で、学力別のクラス編成です。
カリキュラムテストの結果で教室内の席順が変わり、前から順に成績の良い生徒が座ります。
クラス分けは、複数回ある対象テストの平均得点や学びの状況を踏まえて、4・5年生は2か月に1回、6年生は1か月に1回行います。
通塾の頻度は、4科の場合
- 4年生 週2回
- 5年生 週3回
- 6年生(2~7月) 週4回
が基本になっていますが、教室により一部異なる場合があります。
中学受験での早稲田アカデミーの合格実績
昨年2019年に行われた入試では、雙葉は3割以上、武蔵は約3割が早稲田アカデミーからの合格者で占めました。
また関東の大手塾の中で、早稲田アカデミーからもっとも多く
- 武蔵
- 早稲田大学高等学院
- 早稲田実業
- 都立小石川
に合格者を送り出しました。
早稲田アカデミーの特徴
早稲田アカデミーは首都圏を中心に運営している大手進学塾の1つで、志望校別にカリキュラムが多く準備されています。
他の塾に比べると宿題の量は圧倒的に多く、講師による宿題チェックも厳しく行う塾です。
宿題の量があまりにも多すぎて生活リズムに大きく支障が出てしまう場合は、塾に相談すればできる限り対処してもらえます。
4年生からの通塾で学習リズムが掴めないと、宿題をすることだけで精一杯になる可能性もあり、宿題の量が多いことがプラスに転じるかどうかは、お子さんの学習能力と性格によります。
ここ数年難関校の実績を伸ばしている要因の1つに「NN志望校別コース」(NN=なにがなんでもの略)があります。
他の塾に通いながらNNだけは早稲田アカデミーに通うお子さんも一定数おり、早稲田アカデミーの合格実績にはそのような生徒も含まれています。
早稲田アカデミーの年間にかかる費用
4科(Wコース)の場合
4年生 | 約53万 |
5年生 | 約80万 |
6年生 | 約89万 |
早稲田アカデミーのクラス分け・通塾の頻度
1クラスあたりの人数は校舎によって異なり、学力別のクラス編成です。
通塾の頻度は、4科の場合
- 4年生 週2回
- 5年生 週3回
- 6年生 週3回
が基本になっていて、4年生以上はお弁当も必要になります。
中学受験での四谷大塚の合格実績
昨年2019年に行われた入試では、武蔵は約3割が四谷大塚からの合格者でした。
また関東の大手塾の中では、四谷大塚からもっとも多く明大明治に合格者を送り出しました。
四谷大塚の特徴
四谷大塚は関東地方を中心に運営している大手塾で、準拠塾も多くあるため、学力レベルも上位クラスの子から中堅レベル、下位レベルまで多くの子供が通塾しています。
四谷大塚では自社ブランドのテキストである「予習シリーズ」のテキストを使って学習を進めていきます。
四谷大塚は大手塾の中でも珍しい予習型を掲げる塾で、あらかじめ次の週に習う単元を予習した上で授業を受けます。
毎週きちんと予習して授業に臨む子と、そうでない子の差がつきやすく、真面目に努力をしていくことができる子なら学習の成果も出やすいでしょう。
入塾時には家庭でやるべきことを確認することが大事で、特に通わせはじめの段階では、1週間の学習リズムをつかむために親のしっかりした管理も必要になります。
四谷大塚の年間にかかる費用
4年生 | 約55万円 |
5年生 | 約70万円 |
6年生 | 約110万円 |
四谷大塚のクラス分け・通塾の頻度
1クラスあたりの人数は学年やクラスによって異なりますが約10名程度で、学力別のクラス編成です。
高学年では5週に1回、組分けテストを行ってクラス分けを実施します。
通塾の頻度は
- 4年生 週3日
- 5年生 週3日
- 6年生 週4日
が基本になっていますが、教室やクラスにより一部異なる場合があります。
まとめ
中学受験のための勉強計画を自分で立てて実行していくのは簡単なことではありませんから、それができないとなると塾に通う必要がでてきます。
通う塾が大手塾なら、カリキュラムに信頼できる計画が組まれているので、それに合わせて学習していけばいいという安心感があります。
ですが塾の方針や環境と子供の性格が合わなければ、学力の伸び方に違いが出てきます。
中学受験は長期戦で、受験勉強の基本はコツコツと学習に取り組み、学習内容を確実に定着させていくことです。
我が子が勉強に向き合える体力や気力がどれくらいあるかも親御さんはよく観察して、お子さんに合う塾を選んであげてください。